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チェルシー 八角皿(1755年頃)
A Chelsea Octagonal Plate C.1755



 チェルシー(レッド・アンカー期)の八角形の皿。チェルシー(CH8)チェルシー(CH9)と似た形状であるが、本品の場合は中央の窪みが丸ではなくて八角形になっている。また、縁と中央部分に花とリボンの浮彫りが施されている。この浮彫りはマイセンの「ゴツコウスキー(Gotzkowsky)」模様から取ったものであり、チェルシーでは「ダマスク」と呼ばれた(チェルシー(CH2)チェルシー(CH3)及びマイセン(CH3a/ME1)を参照)。ただし、この浮彫りは元々丸皿に施されたもので、チェルシーでも丸皿が多く、本品のような八角皿の例は比較的少ない。なお、チェルシーによるマイセン写しは、1751年にSir Everard Fawkener(チェルシーの財政的支援者)を通じて、駐ドレスデン大使Sir Charles Hanbury-Williamsが持つマイセン・コレクションの貸与を受けたことによって始まったとされている。

 絵付けに関しては、皿の中央及び縁に花と昆虫がエナメルで描かれている。多色彩ではあるが落ち着いた色合いで、浮彫りのない部分に、やや控えめに描かれている。

 現存する1755年3月のチェルシー作品のフォードによるオークション・カタログには、本品同様の八角形でダマスク模様に花絵という組合せの皿が何度か登場する。具体的には以下のとおりである。(翌1756年3-4月のオークション(同じくフォードによる)には、この組合せの皿は出品されていない。)
 2日目:Lot 12 Twelve octagon damasked soup-plates, enamelled in flowers
 5日目:Lot 62 Twelve octagon soup plates damasked with flowers (注:この作品は「花の浮彫り」であって、花絵ではない可能性がある。)
 6日目:Lot 33 Eight octagon damask soup plates in flowers

 裏面には、高台内に3つの目痕はあるが、錨マークはない。高台はバランス調整のために引き切られている。素地内に、いわゆる「ムーン」が見られる。



直径(対角線上)/Diagonal Diameter: 25cm
マーク:なし
Marks:none
参照文献/References:
-F. Severne Mackenna "Chelsea Porcelain The Triangle and Raised Anchor Wares" pp.61-62
-John C. Austin "Chelsea Porcelain at Williamsburg" Appendix (1755 Chelsea Catalogue)
-George Savage "Eighteenth Century English Porcelain" Appendix VIII (1756 Chelsea Catalogue)
-British Museum Website:
 https://www.britishmuseum.org/collection/object/H_1981-0101-223
-V&A Museum Website:

 http://collections.vam.ac.uk/item/O307475/fruit-dish-chelsea-porcelain-factory/



(2020年6月掲載)